Ginger ale syndrome

主にアニメ・映画・マンガを観ながら読みながら思ったことを書き留めるところです。ロボットアニメが多いです。ネタバレ御免。

アニメミライ2014

公開二日目に観てきましたが、日曜日なのに空いてましたね。

去年のは終わり際だったので人の入りが少ないのは気になりませんでしたが、やはり公開前のコマーシャルが足りない気がします。

 

特にTVシリーズで固定客を掴んで劇場版を放映するアニメ作品が増えている昨今、やはり単発の作品で短編、そして実験色が強い企画となるともっと工夫が必要なのでは。

「業界関係者やコアなファン、興味を持った人だけが観てくれればいいや」というのがミライ志向だというならそれもいいですが。

 

……と外見の部分には少々否定的な感想ですが、肝心の4本の作品はどれも面白かったです。

アニメミライ公式サイト

 

 ◆「パロルのみらい島」◆

鮮やかな色彩とコミカルでスピード感のある画が、上映開始間もなくアニメの世界に誘ってくれる。1本目としての役割も果たしている。序盤は駆け足だが不自然さはなく、キャラの挙動からその性格は一目瞭然で島での生活がわかるようなサブキャラとの関わりもしっかり描いている。

目的の島へ向かう動機付けには不明な点がある。(漂流物をたどっていったら着いた、というような説明でもよかった)

島という世界に付き物の「海」や、テントに流れ込んでくる水流、そして涙といった水の表現が非常に魅力的だった。

 

◆「大きい一年生と小さな二年生」◆

聖杯探究というテーマと作風で「パロル」と被ってしまったのが惜しい印象だが、一転してゆっくりとした雰囲気が映えた。

これも時間の制約か、もう少し葛藤か思い悩む描写を深く、一歩を踏み出すまでを濃く描いたほうが好みだったが、旅立ってからの困難を重視する冒険譚なのでよかったとも思う。

あと視点があまり低くなかった気がします。

むかーし観た「くまのプーさん クリストファー・ロビンを探せ!」を思い出しました。

マリコちゃんがかわいい。

 

◆「黒の栖―クロノス―」◆

「見える」「見えない」というそれぞれの悩みが対照的。結局黒服の存在とは何なのか、魂が還るシステムとは何かという点が不明なまま終わるのが余白となって発展性を感じさせるが、同時に「雰囲気だけ」と見えかねない危うさもある。

タイトルにもある「黒」と対比的に全体の色彩は薄く淡いので、それを踏まえても物語には落としどころがあっても良かったのでは。

 

◆「アルモニ」◆

人と人の関わりには何かしらの「共通の価値観」が必要だと述べられるが、内面や心情を他者と等しくすることは不可能だ。そこに生まれるズレや差異を許容する(あるいは見ないフリをする)ことでなんとかやっていく。

そんな感じのことを残酷なフラッシュバックと共に考えたわけですが、KOKIAの歌だけでおなかいっぱいになれますね。イントロだけ聞いた段階では坂本真綾の「gravity」を連想しましたが。

 

===

 

成長とイニシエーションをテーマにした前半2作と、人との関わりを描いた後半2作。

雰囲気が似ていたので観終わった後に「もうちょっと違う雰囲気の作品も観たかったな」と物足りなさもありましたが、それぞれは楽しめました。一番好みだったのはパロルかな。

2015も楽しみです。