Ginger ale syndrome

主にアニメ・映画・マンガを観ながら読みながら思ったことを書き留めるところです。ロボットアニメが多いです。ネタバレ御免。

「パシフィック・リム」(2013, ギレルモ・デル・トロ監督)

はじめ吹き替えで観ようと思ったけど時間が合わず断念。

2D字幕で観たものの、これは吹き替えの方がいいかもしれない。理由は後述。

今年は面白い映画が多くて楽しいなぁ。

 

 

監督が日本の「怪獣」が大好きだということで、作中でも「KAIJU」という単語が使われていたりと、笑ってしまいながらもワクワクする導入を見せる。

作品全体を鑑みると、序盤の過去編→現在(→記憶→現在)という章立てになっているが、過去編とマコの回想(実際にはローリー視点だが)を重視するあまり、本編たる「現在編」が尺足らずとなっているのは否めない。

5年半ぶりにイェーガーに乗るローリーのブランクや葛藤、そしてマコとの同調を高める過程がすっかり抜け落ちている。つまりは物語の展開と共に演繹的に裏付けられるべき「なぜローリーが再びイェーガーに乗るのか」という動機が希薄であり、コ・パイロット候補があれほど用意されていることにも違和感が生まれる。(あの中から2人を選べばいいのではないか、など)

 

逆に言えば上映時間に対して物語が複雑すぎるということでもあり、結果的にバランスは失ったものの、構想そのものは評価に値する。

 

デル・トロ監督はこの作品について、「日本の怪獣ものへのオマージュを捧げた作品ではないと語った」そうだ。

恐らく安易に過去の作品に似せようとはせず、自分なりの解釈や想像そして興奮を形にしたのが「パシフィック・リム」なのだろう。

世に数多いる怪獣オタクの中の一人だったデル・トロが、ただの想像に終わらせず、それを立派な1本の映画として作り上げた。

この事実とバカバカしい程の熱意こそがこの作品の強度そのものであり、その無敵の怪獣の前では筆者が先に指摘したようなことは塵芥に過ぎない。

 

===

 

菊池凜子の日本語がヘンだったりペントコストが無理にカタコトの日本語をしゃべったりと、「う~ん」と思うところもあった。なぜハリウッドは同じ罪を繰り返すのか(笑)

吹き替えは豪華声優陣なので、こっちで楽しむほうがいいのかも。

 

ペントコストの乗ってた日本籍の機体は「コヨーテ・タンゴ」で、ペルー籍の第一世代は「タシット・ローニン」(パイロットはコヤマダさん)と、考証がちょっとおかしいと思わせるところは多いですな。

 

とにかくひとつ突き抜けた映画ということで、この作品は観てよかったと思います。