「アウトロー」(2012, クリストファー・マッカリー監督)
原題は主人公の名前そのまま「Jack Reacher」。
邦題が合ってるようで合ってないようで合ってる作品。
トム・クルーズのようなポーカーフェイスを装いロザムンド・パイクの胸元に視線を忍ばせる映画。
話の筋は至って明快で、無差別殺人に思われた狙撃事件の裏にある陰謀を解き明かしてゆくだけ。作品としてはよくまとまっている。
トム・クルーズは良くも悪くもいつも通り。しかしアクションや敵の組織は控え目なので、「ミッション・インポッシブル」シリーズに比較して地味な印象になってしまう。
どちらかと言えば暴走列車で暴れるコックの話に近い。
最近はどうもテロ絡みの映画が多いようだが、対して本作は、作中でもリーチャーがいなければ見過ごされてしまうような、企業や産業を巡る陰謀を扱っている。
海外へ派兵された兵士の精神的なものにもわずかに触れられている。
検察や警察の関与も仄めかし(実際に関与はあったが)いわゆる「体制側の腐敗」という要素も忘れない。
そしてそれを解決できるのは体制を抜け出し自由な暮らしを送るリーチャーだけだ…というのがミソらしい。あな恐ろしや。
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ポーカーフェイスと書いたものの、物語が進むにつれリーチャーが徐々に感情を露わにする点は見ごたえがありました。「正義」のために「アウトロー」な道をゆく姿は小柄でもかっこいい。