Ginger ale syndrome

主にアニメ・映画・マンガを観ながら読みながら思ったことを書き留めるところです。ロボットアニメが多いです。ネタバレ御免。

「クラウド・アトラス」(2012, ラナ・ウォシャウスキー監督他)

2004年に発表されたデイヴィッド・ミッチェルによる同名のSF小説が原作。

毒にも薬にもならない映画とはこのことか。

本編が164分と、劇場で観なかったことを後悔させない作品である。

 

 

 6つの時代の6人の人物を主人公に、オムニバス形式で描かれる。wikipediaでは「グランド・ホテル形式」に分類されているが、舞台が同じ場所ではないためオムニバスとするのが適当だろう。

 

各時代を行き来するように、そしてそれぞれの時代では時間に従って物語が進行する。

登場人物の名前や音楽のタイトルがリンクして、徐々に時代間の繋がりが明らかにされていくものの、それぞれの物語の存在感が濃厚とは言い難く、クライマックスに至ってなお感動は得られない。

 

特筆すべきは各時代に登場する主要なキャストが共通している点で、時代や国の違いをメイクで補い表現しているのは面白かった。

しかしながらソンミを演じたペ・ドゥナが赤髪カラコンそばかすでミーガンに扮するシーンでは、あまりに違和感があり、演出が露骨に裏目に出てしまったという印象はぬぐえない。

 

せっかく「星形のアザ」というシンボルが登場するのだから、繋がりを匂わせるのはその一点にとどめ、役者も無理せず変えるべきだったように思う。

あまりにもきっちりと凝り固まった演出が、あの作品世界にムードやロマンの介在する余地を潰してしまったというのが残念だった。

 

 

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